結論:4年以内に手放すと、残りの月数分の補助金を返納する

CEV補助金を受けたEV・PHEVには、処分制限期間があります。自家用の乗用車と軽自動車は4年で、この期間内に売却や廃車などをするときは、事前にセンターの承認を受け、補助金の一部を返納します。

返納額は、補助金額に「残りの月数 ÷ 処分制限期間の月数」をかけて決まります。たとえば登録から2年(24か月)で手放すなら、補助金のおよそ半分が返納の目安です。

この記事は、次世代自動車振興センターの応募要領とFAQ(2026年10月時点)をもとに、期間、処分に当たる行為、返納額の計算、返納が不要になるケース、手続きの順序を説明します。

保有義務の期間:車の区分ごとに3年か4年

処分制限期間は、業務実施細則の別表で車の区分ごとに決まっています。自家用車両(白ナンバー)の場合は次のとおりです。

車の区分処分制限期間
普通自動車・小型自動車の乗用車4年
軽自動車4年
側車付二輪・ミニカー・原付2輪3年
車いす移動車(普通自動車/小型自動車)4年/3年

レンタカー(貸自動車業用)は区分が別で、普通自動車の乗用車は排気量2リットル超で4年、2リットル以下の小型は3年、軽自動車は3年です。リース用の車両はレンタカー区分ではありません。

たとえばテスラのモデルYで国の補助が127万円なら、4年間は自家用で保有する前提の補助金です。軽EVを事業用(黒ナンバー)に変える場合も、この期間内は処分の扱いになる点に注意してください。

「処分」に当たる行為と、無届の場合

センターの応募要領では、次の行為が財産処分に当たります。

  • 補助金の目的に反する使用
  • 譲り渡し(売却)
  • 交換
  • 貸し付け
  • 廃棄
  • 担保に供すること

下取りに出すのも売却の一種です。処分制限期間内に処分して新しい対象車を買う場合、処分した車の補助金の返納が完了するまで、新しい車への補助金は交付されません。乗り換えの順番が大切です。

センターは、補助金を交付した車の保有状況を定期的に調査しています。承認を得ずに処分制限期間内に処分したことが判明すると、補助金の全額の返納を求められることがあります。

自家用から事業用への変更も注意が必要です。車検証の「自家用・事業用」の欄が「事業用」の車は補助の対象外です。処分制限期間内に事業用へ変更する前提で申請することはできません。

リースの場合は、リース契約期間が処分制限期間以上であることが条件で、期間未満だと補助金は交付されません。期間内にリース契約を解約するときも、財産処分になります。

返納額の計算方法と具体例

令和4年度補正予算以降の補助金を受けた車(現行の令和7年度補正も同じ)は、次の式で返納額を計算します。

返納額 = 補助金額 × 残存期間 ÷ 処分制限期間

残存期間は月割りです。残存月数は「処分制限期間の月数(4年なら48か月)− 経過月数」で、経過月数には車両登録月と処分月の両方を含めます。

センターの応募要領には、補助金55万円、登録月が令和7年2月、処分月が同年11月、処分制限期間が4年の例が出ています。経過月数は10か月で、残りは38か月、返納額は550,000円 × 38 ÷ 48 = 435,416円です。

同じ式で考えると、補助金127万円のモデルYを、登録月と処分月を含めて経過30か月で手放す場合は、残りが18か月です。返納額の目安は、1,270,000円 × 18 ÷ 48 = 476,250円になります。この例はセンターの式を当てはめた試算で、実際の返納額は財産処分報告書の内容をもとに、センターが「補助金相当額返納についてのお知らせ」で通知します。

売却額が高くても、返納額は売却額では決まりません。車の値上がりや値下がりに関係なく、補助金額と残りの月数で決まる点が、令和4年度以前の方式との違いです。

返納が不要になるケース

次のようなやむを得ない事由は、本人の責めに帰さないものとして、返納が不要になります。

  • 天災などで走行不能になり、抹消した場合
  • 過失のない事故で走行不能になり、抹消した場合
  • その他、センターが特に認める場合

ただし、自動的に免除されるわけではありません。財産処分承認申請書と証明書類を出し、センターの承認を得る必要があります。

被災の場合は、り災(被災)証明書の写し、車両の損害金額が分かるもの(修理の見積書など)、ナンバープレートが確認できて車両全体が写った写真が必要です。事故の場合は、申請者の過失がゼロ(相手の過失が100%)と明記された、保険会社発行の書類(事故解決通知書、過失割合確認書、免責証書など)や示談書が求められます。書類は、財産処分報告書を送る時に出しても構いません。

手続きの流れと、かかる時間

手放す前に、次の順序で進めます。

  1. 処分の前に、財産処分承認申請書をセンターに出す
  2. 到着後、約3週間で財産処分承認通知書と財産処分報告書の用紙が届く(年末年始や長期連休をはさむと約4週間)
  3. 売却などの処分が済んだら、速やかに財産処分報告書を出す
  4. 到着後、約3週間で返納額のお知らせが届く
  5. お知らせに書かれた期限までに返納する

承認から返納までは時間がかかります。乗り換えの日取りが決まっているときは、早めに申請書を出してください。書類の送付先を販売店にする場合は、申請者の了承と担当者の名刺の添付で対応できます。センターが認めた手続代行者(車両販売会社など)は、財産処分の手続代行もできます。

乗り換えるときは、新しい車の注文より前に、いまの車の財産処分承認申請書を出しておくと順番が崩れません。新しい車の補助金は、処分した車の返納が終わるまで交付されないためです。納車と下取りの日がずれる場合は、販売店に下取り入庫の日を確認してください。

処分した車の年度は、交付決定通知書の交付決定番号の最初の文字でわかります。令和7年度補正は「R7H」から始まります。

補助金の仕組み全体はCEV補助金2026年度版の解説、申請の手順はCEV補助金の申請方法で確認できます。